ここ何年かの政治、外交ネタでのメディア不信が盛り上がっていますが、そっちは置いといて、バイクのことだけで。しかもジムカーナ関連限定。
以前から「これはジムカーナに向く」とか雑誌やメディアが運営するサイトで散見しては呆れかえる、という事を繰り返しています。
事実ではない、取材もしていない、データにも当たっていないと思われる事例が多いんですよね。
ちなみに私がCB750でジムカーナを始めた直後に、モーターサイクルショーで「タンデムスタイル」という雑誌の取材を受けました。
で、まだ一戦しか出ていないジムカーナ出場の事を話したんですが、発売された雑誌には「CB750はジムカーナでも人気」とありました。実際には2台しか出ていない上、一人がノービスの私で、もう一人もC2。これで人気とはどういうことか。
その後にもダンロップ大会の冠スポンサーである「オートバイ」紙ですら「CB750はジムカーナで人気」的な事を書いていました。
自誌の冠大会のリザルトすら見ていないのでしょう。
ストリートファイターがジムカーナ向きとは言えない、わざわざと書いているのもメディアやそれに影響されたジムカーナを知らない方の誤解があるからです。
例えばここ(http://www.bmpaddock.com/newmodel-streettriple675r.html)
ストリートトリプルに関する記事です。
引用します。
サーキット走行も、ジムカーナもOK!
エンジンだけではなく、ハンドリングも“執事”のように“言うこと”をよく聞いてくれます。クネクネしていてアップダウンの多い3ケタ国道もお手のもの。頭を車体のセンターに残しつつリーンウィズからリーンアウトに移行すれば、見通しの悪いタイトな下り坂もクルリと曲がれます。デイトナ675を含めて、ほかのバイクだったらちょっと気をつかうような場面でも、ストリートトリプルRならジムカーナ感覚で自由自在に楽しめてしまう♪-----この差は実に大きいですね。
前述したエンジン特性に加えて、アップライトなライディングポジション、踏ん張りやすく曲がるキッカケを与えやすいステップ、滑りにくいシート、フルアジャスタブルな前後サスペンション、最高峰のスポーツタイヤが、有機的に絡み合っているからこそです。
中略
あえて言えば、取りまわしやUターンのときにハンドル切れ角の少なさを実感しますが、そのぶんブレーキやハンドリングのフィーリングが素晴らしいのですから、我慢することにしましょう。
引用ここまで。
もうツッコミどころ満載。
ハンドル切れ角というジムカーナで最重要なスペックを(Uターンのときにハンドル切れ角の少なさを実感します)と書いておきながら、ジムカーナもOKで、ジムカーナ感覚で自由自在、とはいったいどういう事か?
A級(http://star.ap.teacup.com/tabibito/)の魔改造を前提に、フレーム、三股を削って切れ角増やす事まで前提として、ジムカーナもOKというなら、大概のバイクは魔改造すればジムカーナもOKで、ジムカーナ感覚で自由自在になります。
「ほかのバイクだったらちょっと気をつかうような場面でも、ストリートトリプルRならジムカーナ感覚」
というのも意味がわかりません。
ジムカーナ感覚ってなんでしょう。
ジムカーナに特徴的な場面や操作って、ハンドルロックでの旋回、それを維持しての360°以上の回転、一速全開走行、膝をスらずにステップをするフルバンクなどが思いつくんですが、ほかのバイクで気を遣う場面はみんなトリプルでも気を遣うだろう。
というもの、やはり改造パーツであるアイドルアジャスターを使わないと、ハンドルロックでの旋回がちょっとやりにくいから。
低速トルクがあってレスポンスも良いせいで、ノーマルアイドルだとロックして旋回中に失速を避けるためにアクセルを当てるのに神経を使います。ストリートトリプルはわりとドンつくし。
一速全開にしても100馬力を超えるストリートトリプルでやるのはかなりのスキルと度胸と状況が必要ですな。
よりローパワーのバイク、例えばER6とか、それ以下の馬力のバイクの方が怖くない。
さらにそもそも論ですけど、ジムカーナの操作じゃなく、感覚ってなんだと。
ジムカーナって「タイムトライアル競技である」「コースを歩いて下見して2回しか走れない」が非常に重いんですよ。
だから選手は初見のコースでラインとか挙動を一発で決められる従順さ、多少のミスが出たときにリカバリーしやすい寛容性なんかを重視します。
初めて走るコースでノーミスはほぼありえないからです。
練習会だと走り込めますが、走り込まないとタイムが出ないセッティングを避けるというのは選手が必ず意識する点です。
つまりジムカーナ感覚で自由自在なマシンとは、ミスが出にくく、出てもリカバリーが容易で、初見のコースで一発でタイムをまとめられるマシンです。
この記事を書いた方はジムカーナの経験、せめて見学や取材をしたことがあるのだろうか?
おそらくないだろうな、と思います。
そして想像だけでジムカーナ感覚を決め付けてる。
実際にやっている側からすると、非常にイラつくわけですよ。
ジムカーナ経験もある、みたいな紹介をされている記者やイントラなども見かけますが、本当にジムカーナ経験があるのか、疑ってしまいます。
キャッチボールを「野球の経験がある」と言ってしまうように、練習会どころか講習会やHMSでスラロームした事があるだけでも「ジムカーナ経験がある」と書かれてしまうと、二回だけのタイムアタックがジムカーナなのに、それも知らずにジムカーナを語ってくれるなよ、とぼやきたくもなるってものです。
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