もう半年以上前にSNS上で「ジムカーナ選手って世間のライダーに嫌われている。汚いとか言われがち。なんででしょう?」という感じの疑問が出てきました。
確かに私がジムカーナを始めて約10年「薄汚い事務屋」という言われ方は某2chを中心に頻繁に耳にするジムカーナ選手へのヘイト表現でした。
ジムカーナ選手は世間一般から見れば下位シードでも相当に速いです。またジムカーナ競技の簡単にできるけど技術は特殊という性質から他の競技をやっている人、極端な例であればGPレーサー相手でもちぎれてしまうし、そういう機会がたまにあったりします。しかし嫌われがちです。
理由は色々あると思うのですが、ここはジムカーナ選手が本当に薄汚いって話をしてみます。
まず世間で一番わかりやすい、見た目。
ここ数年、ジムカーナ選手の美意識は格段に向上しました。
以前の走ればいい、速ければいい、どんな見た目でも気にしない、という選手が減り、小奇麗なバイク、装備の選手が増えています。
しかしそれでも見た目が酷い選手は多く、世間から見ればこれらの目立つ悪例が過去の悪評を補完し続けていると思われます。
では早速。
こちらのブログ
転倒?しちゃうでしょで有名な女性シードです。人呼んで「転倒の女王」。
このサイズで見ると普通に感じるかも知れません。
拡大。
この選手は自走なので、この格好で街を走っています。
そもそもキレイとは言い難いウィンドブレーカーですが、大穴あいてます。
この日あいたわけではないのです。これを常用し続けているのです。
転倒で凹み、さらに錆びかけているサイレンサーと、フルバンクですり減ったトゥースライダーがジムカーナらしさを演出していますが、これを世間のライダーがどう見るか?
次も女性選手です。
さっそく拡大。
このブレーキランプの付け方。
いかにもツイてりゃイイんだろ!とでも言いたげですね。
緑の養生テープなのは、おそらく手元にあったから。
もちろん見栄えを考えてせめて黒テープにしようなんて考えもしないのです。
この選手はトランポなのでレギュレーションで許されているウィンカーを取り外していますが、外した穴をキレイにしておこうとか、そういう発想はありません。
これは好みの問題ですが、軽量化も兼ねて大きな丸目ヘッドライトからオフ系などのフェイスに変えるのは定番カスタムです。
しかし・・・当然ながら元のデザインとの整合性はあるはずもなく、そもそも整合させようなんざ考えもしません。
これはB級トップクラスにして警察庁がやってる安全運転大会で全国優勝しているという立場的には公道を走るライダーの模範でなければならない選手です。
素敵にバンクしてます。
しかし
度重なる転倒でサイレンサーはボロボロ。
ジム屋感覚では「サイレンサーはバンパーの一部!」だったりするので、直そうとかキレイにしようという発想がそもそもなかったりします。
それは競技特性として仕方ない面もありますが・・・
足の小指がこんにちは!
ジムカーナはステップに足を乗せたままひたすらバンクするので、トゥースライダーがダメになる事は以前の記事に書きましたが、限界を超えたようですね。
手の平と親指もこんにちは!
安全装備ってなんでしょうね。
安全運転日本一なはずなんですけど。
こちらはダンロップ杯で総合優勝もしているトップマシンです。
NSR50のフレームにCRF250のエンジンを突っ込んでいる通称モンスターミニです。
もう解説するだけアホらしいですが、無理くり作ったマシンなのは仕方ないとして各所の塗装ハゲとかを直す気はないのでしょうか。ラーメン喰ってる場合なのでしょうか。
ちなみにこの選手の装備はこんな感じ。
補修テープに黒をチョイスしているだけまだしも良心的かも知れません。
最後にいかにもジムカーナ車両なNSR250です。
90年代から0年代中盤までは最大派閥でした。
そしてこのNSRは当時の面影を残しています。薄汚さで。
全体像でもタンクのハゲとか、ライン取り回しとかツッコミどころしかありませんが、世間に追加解説するとフェイスのシールでしょうか。
ジムカーナ選手の習性として大会の車検合格シールを車体に貼って、参戦経験をアピールするのですが、普通は年度やシリーズ事にキレイに並べて貼っていきます。
このNSRも一応工夫した跡がないでもないですが・・・控えめに言って統一感とかデザイン性がないような気がします。
ボコボコのタンクに若さを見つけますが、40台50台の選手でも平気でこんなタンクを使ったりしています。
取って付けたリアカウルで、ブレーキランプが抜け殻・・・と思わせて赤枠の所に別付しています。レギュレーションでブレーキランプは必須です。
切って貼ってとりあえずレース車検に通す。
これがジムカーナ車両です。
ここまでがジムカーナの会場で撮った写真です。
これだけ薄汚い格好をしたバイクと装備のライダーを見て、憧れや敬意を持ってくれる人は少数派らしく、残念ながら「ジム屋は薄汚いんだよ!」と言う非難は正当な気がします。
またジムカーナ選手側も賞金が出るわけでもなく個人の趣味として走っているので、そもそも外野に良く思われたい、そのために見栄えを良くしよう、等とは思っていない節があります。
さらにマズイ事に「クローズコース内だから関係ないだろ!」と言う反論をしたい所ですが・・・
ジムカーナは自走車両での参加ができます。
レギュレーションも陸運の車検に通っている、または簡易な戻し作業で車検が取れるという観点で決まっています(実際の運用はともかく)。
つまりはジム屋と公道は、サーキットレーサーやモトクロス選手より近いのです。
こちらは私がちゃんと「公道用のノーマルバイク」でジム仲間とツーリングに行った際の写真です。
CB750、ストリートトリプル、ホーネット900、YZF-R6、GSX-R1000、グース350の6台ですね。
うちR6とR1000はマンマ競技車両です。
ジムカーナの特性を生かし、大会に出る仕様そのまま、またはスプロケ変更位で公道に繰り出しているわけです。
もう少しよく見てみましょう。
ジムカーナマシンではないはずのCB750です。でもバンパーついてます。そしてバンパーが仕事をした形跡がばっちり。
この時点で道行く一般ライダーはドン引きですよ。
ジムカーナ言うところの「殻剥きUPハン」。
R6とR1000はカウルを剥がされ、ハンドルをバーハンドルに変更されています。
フロントカウルが残っているR6はとにかく、このR1000を見てR1000だと分かるライダーがどれだけいることか。
そしてR1000だとわかったらわかったで、憧れのリッターSSをここまでアレにしてしまっている事をどう思われるか。
当然ながらこの2台は前半で書いたようなジム車両らしい傷だらけで付けばいいんだろ付けば精神の塊ですし。
そして今回の6台は、非競技車両であっても何故か全台がプロダクションレースタイヤを履いていました。
この記事参照のやつです。
http://husqvarnasm450rgymkhana.blogspot.jp/2013/09/blog-post.html
そして当然のようにアマリングはありません。
止まっているバイクのタイヤの端を確認する習性のある方々には効果てきめんな威圧です。
さらに乗っているライダーの装備がこちら。
ツーリングにレーシングブーツで来るのはまだ理解できるとして、黒テープだらけの補修で平然とできる精神が凄すぎます。
こちらは一般ライダーと行ったツーリング写真。普通のツーリングってこんな感じなんですよ。カスタムしたってマフラーとかで、コケて外装に傷が付いたら〇万コースだからって心配しているんですよ。
ジムカーナ選手は外装に傷がついても、そもそも傷がありすぎて新しい傷を認識できなかったり、金をかけて直すって発想がない。
普通のツーリング仲間で穴のあいた服やブーツやグローブを使っている人もいない。
たま~にジムカーナ関係ないライダーと付き合うと、その意識の違いに驚きます。
きっと先方さんはジムカーナライダーの薄汚さにもっと衝撃を受けているはずです。
近年はバイク、装備の見た目に拘る選手も増えてきているので、薄汚いジム屋という言われ方は減っていくかもしれません。
例えば私はカラーオーダーしたオシャレな外装ステッカーでバイクを飾り、同じくカラーオーダーした素敵なツナギを着て、装備に穴などありません。
こういう見た目にも拘った選手が増える事で、ジムカーナ全体の評判が上がっていくので、ここを見ている選手各位は考えてみてくださいね。
ジム屋の薄汚さ、わかっていただけたでしょうか?
次回、薄汚いジム屋(人格編)
果たして見た目が薄汚いだけでジム屋はそんなに嫌われるものなのか?
他の原因があって見た目の薄汚さも一緒に叩かれているのではないか?
答えはジム屋の人格にあった??
乞うご期待。
例によって更新は半年後かも知れず、未完で終わるかも知れません。